モルディブ小学校隊員の日記 〜今日の空振りは明日への素振り〜

青年海外協力隊モルディブ小学校教育隊員の日記です。がんばります。

水泳


 11月の頭、授業が全て終わった週末から約1週間現地警察と協力しての高学年以上の女の子を対象とした水泳教室がありました。もう真っ黒になっています。

 

 

 以前にも書いたかもしれませんが、モルディブの体育でも水泳領域を扱うことになっています。実はモルディブの子どもは海に囲まれているにもかかわらず、意外にも泳げない子の割合が多いです。泳げなくても生活できるといえばできますしね。ただその中で起きた海での死亡事故をきっかけとして水泳を学校で教えるよう定められました。このあたりの経緯は日本と同じですね。

 

 ですが、日本と違い、各校にプールはなく、週1時間(35分)で実施するわけにもいかずということで、現状水泳の授業を実施していない学校も多くあります。たとえ実施できたとしても課業時間外にやらざるを得ないため、なかなか多くの時間をとることもできないのが現状です。また、授業は必然的に海でやることになるため、事故発生時を考慮して警察等に協力をお願いしなくてはいけないこともありますしね。

 

 

 赴任校も今年はこの警察主催のものの前に学校として各クラス1時間ずつ程水泳の時間を取りました。水泳の成績を付けざるを得ない状況で、ひとまずやっておこうというレベルです。

 モルディブの指導要領には高学年の指導事項にバタフライが設定されていたり、泳法は問わないものの3年生で50m泳ぐということが設定されていたりで、現実と相当乖離しているものがあります。日本でもほぼ無理ですよね。

 ただこれについては割とフレキシブルに対応して良いみたいで、去年は6年生にバタフライを教えて(見せて)いましたが、今年はクロールに絞って教えることになりました。

 

 

 ですが、どう考えてもこの時間だけでは泳げない子が泳げるようにはなりません。そこで今年は泳げない子が多い女の子に絞って警察に水泳指導を依頼することになったようです。

 

 今回は4グループ+1グループ(レベルが高めの子)を各1時間ずつ計7回水泳指導をしてもらいました。各グループ20人前後に対して大人は警察6人を含め、約20人の指導者、アシスタントがつきます。さらに看護師と医師が砂浜に常に待機しており、もしもの時に備えるなど万全の態勢で進められていきました。

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バタ足練習 万全の指導体制です。

 基本的にはクロール25mを最終目標に、バブリングや伏し浮き、バタ足の練習、クロールの手のかきまで、ひとつひとつ丁寧に進めていました。上手くできない子がいれば、個別で2人ほど指導者がついて練習をするなど、数の多さを最大限に利用して全員が泳げるよう支援をしていました。

 

 指導をしている警察官の方も教え方が上手で、僕はほぼその指示に従ってお手伝いするだけで充分でした。特にこちらの水泳は競技用と言うより、事故にあっても生き残れるようにするという要素の方が強いので、学校の先生が教えるよりはるかに適任な気もします。

 また、砂浜から約50mに渡って深さ1m前後の海が続く所と、すぐに足がつかなくなるところが近くにある任地の島の地形も水泳を教えるのには最適でした。シュノーケリングには向きませんが、水泳指導の観点から見るとメリットは大きいですね。

 

 最終的にほとんどの子が25mを泳げるようになり、目標は達成できたと思います。しっかり指導をすること、時間をかけることで技能を身につけることができることを学校の先生方も感じてくれたんじゃないかなと思います。

 

 たまたま赴任地が比較的大きな島、かつ学校が一つしかない等様々な好条件が重なり、こういった機会を作ることができたと思います。学校だけではなく、社会全体で適材適所で教育を進めていく良さを感じました。子どもにとっても特別感があって楽しいと思いますしね。

 この体制がさらにほかの学年にも広がって継続されていってほしいと思いました。