モルディブ小学校隊員の日記 〜今日の空振りは明日への素振り〜

青年海外協力隊モルディブ小学校教育隊員の日記です。がんばります。

1年

 

 ボランティア活動を終え、モルディブを出国してから1年が経ちました。早いですね。日本でこうして1年間過ごした今、モルディブでの日々が何か現実ではなかったような感じがします。

 この冬は寒かったので、何度か「モルディブに帰りたい」と思うこともありました。寒いのは嫌です。

 

  先日勤務先の学校で卒業式がありました。例年通りとはいきませんでしたが、それでも去年は保護者も入れない状況だったのが、今年は保護者も参加しての卒業式となり、大分日常に戻りつつあると感じています。

 勤務先も変わり復帰一年目となった今年度、きちんと1年間を耐えきることができるのか不安でしたが、何とかなりました。2か月遅れでのスタートだった学校も、行事等を例年通り行わなかったこともあり、何とか学習の方も来年に持ち越すものはなしでいけそうです。

 これも恐らく休校があったこともあるのかなと思っています。ほとんどの人にとっては厳しい期間でしたが、自分にとっては、徐々に学校に慣れていく期間になりました。とは言え、ボランティアに行く前から比べると本調子まではまだまだといったところです。2年間ゆるく過ごしたツケは大きいです笑

 思い起こせば、去年の同時期に協力隊に参加するメリットについて書いていました。

katsun88.hatenablog.com

 

今回は「実際どうだったの?」ということも含め、今年一年の教員生活に対してモルディブでの経験がどう影響したのかまとめてみようと思います。

 

①各教科指導に対する苦手意識がなくなった

 小学校の教員は全教科を指導できるということが前提です。ですが、教科数が多いため、中には「これを教えるのはかなり厳しい」という人もいます。かくいう自分も行く前は「英語はちょっと...」と思っていました。実際教えられるようなレベルではありませんでしたしね。ですが、2年間の経験を通して、英語も何とかなるレベルまで持ってこれました。

 現在小学校でも教科担任が始まっていますが、専科がつかない限り体育や外国語あたりは教科担任になる可能性が大きい、かつ苦手意識のある先生が多い教科です。この2教科を武器にすることができるようになったのは大きなメリットだと思っています。

 

②子供に対するキャパシティが広がった。

 誤解を恐れずに言えば、約20年教えられる側、教える側として日本の教育現場にいた自分にとって、日本の子どもを教えるより、モルディブの子どもを教えるほうがはるかに大変でした。当然といえば当然ですが、日本のあたり前が通用せず、ありえないことが起こるモルディブで、いかにして教育の目標を達成するかの試行錯誤の連続でした。ですが、その経験が日本での指導の際に生かせる機会がたくさんありました。

 特に体育の際に体育が苦手な子に対する指導に役立ちました。小学校レベルで言えば運動の技能に人種や文化の違いはありません。ある動きができない子はおそらく世界中どこでも同じ原因があります。それに対する手立てはモルディブの2年間で管理たまりました。様々な種類の運動経験のが少ないモルディブの子はある意味全て0ベースでのスタートでしたしね。

 あくまで一つの例ではありますが、日本で教えている限り子どもに対して「こんなのありえない」と思うことはほとんどないでしょう。

 

③余計な経験者意識を持たなくなった。

 本来異動初年となると、とかく前任校でのやり方と比べ、現任校を批判してしまいがちです。違うのは当たり前なのですが、今までの経験が邪魔をしてしまうからでしょう。ですが、今回丸2年日本から離れたことでこのあたりの意識がほとんどなくなり、まっさらな気持ちで新しい職場での勤務をスタートすることができました。良くも悪くも日本の学校の1年の流れをほとんど忘れていたので、前は当たり前だと思って流していたことも変だと思えばとりあえず聞いてみる習慣もつきました。同僚にとってはそれはそれでうっとうしいかも知れませんが笑

 変に慣れきってしまわないためにも自分にとって今後もこういったリセットは必要なのかもしれません。

 

 最初にも述べましたが、2年間のツケは大きく、まだまだ精進が必要ですが、この2年間が無駄ではなく完全にプラスになっていたんだと確信できた1年にもなりました。

 今年度はまだあと少し残っていますが、来年度はさらにギアを上げてやっていきたいと思います。

夏休み

 8月もいつの間にか中盤に入りましたね。暑いです。暑い。

 僕の勤めている自治体の学校は8月1日から16日までが夏休みです。長さとしては普段の4割ほどですが、今年は研修や会議は一切入っていないので、夏休み期間はまるまる休暇にすることができます。そんなわけで例年であれば7月中は夏休みの水泳、後半は研修や水泳があって結局仕事をしているので、実際に自分が休める期間で言えばそんなに変わらない感じがします。そもそも去年までは夏は2週間ほどしか休みはありませんでしたし。

 少し整理したいことがあって職場に一回だけ行きましたが、その他は今年はコロナのこともあり外出も控えていて、あまり人にも会わないで引きこもっていたので、さすがにちょっと休み飽きてきているところもあります。贅沢なことですが。

 

 さて、いよいよ来週から学校が始まるわけですが、8月の夏真っ盛り、今週の感じからすると来週も恐らく35度が当たり前の中での授業がスタートします。教室はクーラーをガンガンにつけるのですが、それにしてもこれまでに経験のない中での学校生活はどうなるのかわかりません。ましてやコロナ対策も並行して行っていかなくてはならないので、いつ限界が来てもおかしくありません。いずれにせよやるしかないのですが。

 

 大人は平気ですが、子どもにとっては夏休みが短いのはやっぱり残念でしょうし、消化不良な部分もあると思います。と、いうことで夏休み明けの1週間ほどはゆる~くやっていきたいと思っています。前にも「ゆるくやってる」みたいなことを書いていますが、もちろんやるべきことはやっていきます笑

 それでもまずは「夏休みが短かった」というのがマイナスじゃなくてプラスになるような8月にしていきたいですね。気持ち的にも、学習的にも。

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きみがすき

 赴任して3ヶ月が経ちました。

 勤務先の学校は6月から登校が始まりました。最初の2週間はクラスを半分に分けて午前中に2時間程ずつ登校、その後6月いっぱいは午前授業で全員登校となっています。順調にいけば、7月からは給食ありの通常登校に移行する予定です。

 

 子どもは始業式に学校に来ているものの、約3ヶ月授業がなかったため、普段通りに授業に戻るのにはとにかく時間がかかります。そういうことで、しばらくは休校中に出していた課題の復習をしつつ、ゆる〜くやっています。

 さすがに1ヶ月経つと、クラスの子と自分との関係ができつつありますが、まだ遠慮があるようなので、次の1ヶ月で子どもにいじられるのを目標に日々過ごしています。

 

 さて記事のタイトルですが、別に好きな人ができたとかではありません。そういうのはまだ自粛中です。

 

 学校が再開するにあたって特に時間をかけているのは、当然コロナ対策です。学校では朝に検温チェック(学校で測るわけではありません)したり、放課後に消毒したりと色々やっています。実は「きみがすき」もそんな対策のひとつで、コロナ予防のあいうえお作文になっているんです。暇があったら当ててみてください。

 このように予防のため色々やっているわけですが、クラス全員が登校すると、たかだか50㎡程の教室に40人弱の人が半日過ごすことになります。密も密です。

 それに加えて、気温が上がってきて熱中症の心配も出てくる時期です。

 と、いうことで今学校現場では「コロナ対策でマスク着用、換気もしつつ熱中症対策もする」というなかなかタフな対応を求められています。さらに7月からは給食も始まりますし、夏休みも例年の3分の1程になり、真夏に授業をすることになります。何が起こるか分かりませんが、とにかく状況に応じて取捨選択するしかありません。

 

 考えなくてはならないことはたくさんありますが、仕事自体は楽しくやっています。コロナの影響で出張とかがほとんどありませんし、職場がわりと大きいので、割り振られる仕事も少ないためクラスのことに集中できています。そういう意味では仕事を始めてから今が1番楽しいかもしれません。

 

 クラスの子どもも色々制限されている中ですが、学校に来るのは楽しいみたいです。やっぱり人と直接会うのは違いますね。この感じはリモートでは無理です。

 大変ではありますが、そんな楽しい場を途切れさせないよう、できることはやっていこうと思います。

2ヶ月

 モルディブから帰国して2ヶ月が過ぎました。まだ油断はできないものの緊急事態宣言解除も見えて、ひとまず6月から少しずつ授業を始められそうです。思い返すと去年にこの時期はデング熱でげっそりしていました。その時と比べると体重が10kgほど増えました。時が立つのは早いですね。

 

 協力隊としての活動も終了し、このブログをどうしようかと考えていましたが、色々と自分のことを振り返るツールとして今後も続けていこう思います。職業柄ぼやかすことは多くなりますが、多分教育関連のこととか、国際協力関連のことが多くなると思います。職がなくならない程度に(笑)どちらにしろたいした知識はないので、あくまで自分の思いのままに書いていけたらと思ってます。

 

 

 さて、この2ヶ月ですが、新しい職場になり、心機一転新たなスタート…といきたいところでしたが、休校ということで授業はできず、自宅学習を進めるための資料作りを主にやっていました。教員の仕事のほとんどを占める授業がないので、この仕事ではめずらしく定時での出退勤が続いており、ある意味で日本の生活に慣れるリハビリ期間になりました。ただ、モルディブでほとんど授業をせず、早く授業をしたかった自分にとってはフラストレーションがたまる毎日でした。

 僕の職場では、どうしても仕事を休めない家庭の子の一部受け入れ、休校中の課題の配布のための家庭訪問(2週に1回程度。もちろん家庭との合意のもと)をしています。正直なところ個人的にはこれに救われました。いろいろな形があるとは思いますが、相手の顔が見えない中、ましてや新しい職場で子供の顔もわからない中で、少しの時間でも顔を合わせるのとそうでないのは大違いです。もちろんリスクはありますが、それ以上のリターンはあったんじゃないかなと思います。

 

 始めにも書きましたが、宣言解除がされれば、来月から少しずつ授業を始められます。今まで通りとはいきませんし、たくさん課題が残っていますが、とにかく今は楽しみです。会える時間は2ヶ月、もしかしたらそれ以上に短くなってしまうかもしれませんが、その少ない時間を目一杯みんなと一緒に楽しみたいと思います。

 

自分にとっての国際協力

 日本に帰国して一週間余り、コロナの影響もあって周りも自粛ムードということで、あまりやれる事がなくて気持ちが上がってきませんね。やらなきゃいけない事があるのは置いといて、さっさと仕事を始めたいと思っている今日この頃です。でも桜は綺麗ですね。

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 それはさておき活動振り返り第二弾です。今回は自分にとっての国際協力について書きたいと思います。

 

 

 もともと協力隊に参加したのが海外で生活してみたいというかなり軽い気持ちだっただけに国際協力ということはあまり深く考えていませんでした。

 そんな自分でも訓練も含めて2年、協力隊として活動して自分にとっての国際協力とは何なのか考えてみました。

 

 結論から言うと自分にとっての国際協力は「今目の前にいる人のために動く」ということかなと思っています。

 そもそもきちんと国際協力についての知識があるわけでもなければ、語学も大してできません。そうなると残念ながら国を変えるような大きなことができる実力もなければ志もありません。

 ただそんな自分でもどんなに小さなコミュニティであったとしても、そこにいる人たちがより良い生活ができるようにするために動くことはできます。自分が何かをした結果、誰かが喜んでくれたり、前よりちょっとでも良くなったりしたらそれで良いかなと思っています。

 

 そういうスタンスは日本の学校で働いていた頃とあまり変わらなくて、結局はただ日本か海外かの違いだっただけで、活動自体は日本で仕事をしていた時の延長線上にあった気がします。あくまで周りの人に恵まれたと言うのもありますが。

 もちろんモルディブで活動したことは大きな経験になりましたし、一生の思い出にもなりました。ですが、国際協力と言うこと自体は別に特別なことではなくて、あまり身構える必要はないのかなと感じました。

 

 たった一国での経験しかないのですごく薄っぺらい考えだと思いますが、色々な人に国際協力を身近に感じてもらえるなら、それはそれでありかなと思います。自分にとても甘いのです笑

現職教員が協力隊に参加するメリット

 日本に帰国して2日が過ぎました。時間を1時間勘違いして空港からのバスに乗り遅れたり、起床時間がきっちり時差の4時間分遅くなったりとまだまだ心も身体もモルディブから帰ってきていませんが、日本での生活は始まっています。

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チェックインカウンターのフロア全体を見回しても2,30人程しか人がいませんでした。

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コロナの影響が色濃く出ています。

 とりあえず節目ということで活動を通して感じたことをいくつかに分けてまとめいきたいと思います。今回は現職教員として参加するメリットをまとめてみたいと思います。

 

①語学力が向上する

 やっぱり最初に思い浮かぶのは語学力が向上することだと思います。大学卒業後、ほぼ英語には触れておらず、合格後に中学の文法を勉強しなおすレベルの英語力でしたが、駒ヶ根での訓練、モルディブでの生活を通して何とか英語で活動を進められるくらいまでにはなりました。軽く見るわけではありませんが、とりあえず小学校での外国語活動の指導には困らないレベルにはなったかなと思います。あくまで小学校レベルですが。

 

②今までとは違った視点で授業を考えられる

 これは活動の内容によるかもしれませんが、僕の場合は自分ではなく現地の先生たちの授業力の向上を目指す活動を通して、「誰にでもできる授業」という視点で教科マネジメントも含めて授業を考えられるようになりました。日本にいた時は経験の浅さもあってなかなかそこまで考えが及びませんでしたが、ここでの活動を通して授業に関しては視野が広がった気がします。

 

③教員としての仕事を見つめ直すことができる

 モルディブでの活動の中で、自分が授業をほとんどしなかったため、そのことについては随分フラストレーションがたまりました。それで、改めて自分は授業をするのが好きなんだなと気づきました。また、日本の学校から離れたこと、異文化の中で教育に携われたことで、教員としての仕事について考えることもできました。日本ほど忙しくなく、時間があるのも長いスパンで見ると良い息抜きになるのかなと思います。特に飽きっぽい自分にとっては良いインターバルになりました。今は日本での教員生活に向けて初任の頃以上に希望に溢れています笑

 

④日本の学校の良さを感じることができる

 それぞれの国学校に優劣をつけるわけではありませんが、日本を離れて「日本の学校っていいところあるな」「日本の先生頑張ってるな」と思うことが増えました。日本の学校に長くいると、どうしても悪いところに目が行きがちになりますが、離れてみると良いところが見えてきます。日本の学校、よくできてますよ。

 

⑤話のネタが増える

 これは結構分かりやすいと思いますが、「海外で生活していた」というのは子供に対してかなりインパクトがあるので話のネタになります。それだけじゃなく、ボランティアの大切さや、異文化理解、語学力の重要性なんかについてもかなり説得力が増します。なんせ実際に体験しているわけですからね。

 日本に帰ったらガンガン利用しようと思ってます笑

 

 

 もちろん参加形態によっては赤字になる、日本の忙しい生活に戻ることに不安を覚えるなどデメリットもあると思いますが、トータルで考えるとたとえ活動が上手くいかなかったとしても行きたいなら絶対に行ったほうが良いと断言できます。

 せっかくだから沢山の先生に協力隊に参加してもらいたいですね。

さよならモルディブ

モルディブでの日々も今日で終わり、現在空港にてボーディングを待っています。

 

 12日に急遽任地からマレに上がってから約1週間、モルディブでも日々行動の制限が広がっていきました。

 挨拶もままならず、突然の上京にはやりきれない思いというか、スッキリしませんでしたが、実際に国内での移動もかなり制限され始めている現状を目の当たりにすると、支所の判断は正しかったのかなと思います。

 帰国後の動きにしてもまだはっきりとした回答はないのですが、刻一刻と状況が変わる中いつ判断するのかはかなり難しい問題なのかなと思います。この辺り教員をやってた時に学級閉鎖とか運動会の実施の可否とか決める心境に似てるのかなとも思います。レベルは違うのですが笑

 

 他の隊員も数日後に日本に一時帰国することもあってまだいまいち活動が終わって帰国するという実感がありませんが、日本についてからしばらくしてふと実感するでしょう。この辺りは卒業生を送った翌日の教室で感じる寂しさと同じなのでしょう。

 

 最後の最後にバタバタした中でちょっと普通とは違った旅立ちとなりましたが、それもひっくるめて今この21ヶ月間、モルディブで活動できたのは自分にとっては何の後悔もなく、100パーセント満足のいく時間になったと思います。

 

 帰るまでがボランティアということで無事に帰れるよう頑張ります。