モルディブ小学校隊員の日記 〜今日の空振りは明日への素振り〜

青年海外協力隊モルディブ小学校教育隊員の日記です。がんばります。

さよならクダフバドゥ

 クダフバドゥでの生活もあとわずか、というタイミングで昨日急遽任地の島を離れて今首都のマレにいます。

 ここ数日モルディブでもコロナウイルスの感染者が増えています。この調子だと近いうちに国内での移動が制限される可能性があるということで、JICAの支所からすぐに上がるようにと指示があったためです。

 

 昨日は最後の挨拶ということでたまたま調査委員の方と現地スタッフが島に来ていました。学校で挨拶を終え、帰りのフライトまでゆっくりしていたところ、支所から電話が。そのままあれよあれよという間にすぐに島を発つことに。

 16時前に決定してからフライトのチェックインまでの17時半までの1時間半で荷造り、挨拶を済ませることになりました。

 

 急な決定でほぼ時間がない中、何とかご飯のお世話になった家族と学校でバレーボールをしていた男の先生たちには挨拶できました。子どもたちにも挨拶をしたかったのですが、道で会った子に「今日出るよ」と伝えることしかできませんでした。

 

 やむを得ないとは言え、あまりにも突然でこれでお別れという実感はまだなく、お互いまた戻ってくるんじゃないかな、という感じでした。

 

 これまでは距離的にももうモルディブに来ることはほぼないかな、と思っていました。ですが、今回の出来事があって島への未練が残ったおかげでまたいつか島に行こうかなと思えるようになりました。今はスッキリはしていませんが、またこういう未練が残るのも良いもんだなと感じてます。

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 ただ休みでマレに上がっていた隊員と最後に会える機会ができたのはみんなにとっては大変だと思いますが、自分にとっては不幸中の幸いだったかなと思っています。

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出発直前での変更だったので席がビジネスクラスになった不幸中の幸いですかね。

モルディブでの生活はあと5日間ほどですが、最後まで楽しんでいこうと思います。 

 

 

一人じゃない

 3月5日、任地校での全ての活動が終わりました。マレに上京するまでの10日間程の前期の中間休みはまだクダフバドゥ島にいますが、一つ大きな区切りの日になりました。

 

 

 最初来たときはどうなることかと気が気ではありませんでしたが、終わってみれば完璧とは言えませんが、やれることはできたかなという満足感があります。

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 任地での19ヶ月の活動の中で思うようにいかないこともありました。

 自分で3代目ということで支援慣れとまではいかないと思いますが、活動への理解はあるものの優先度が低く、あまり真剣に取り合ってもらえないこともありました。

 

 例えばですが、ワークショップは何回も延期や中止になってました。校長に話を通してから先生たちに連絡していても誰も来なかったり笑

 

 もしそんな状況の中、自分一人だったら「もういいや」となっていたでしょう。ただそんな時、準備から手伝ってくれる先生がいました。その先のことも一緒に考えてくれて本当に色々な意味で助けてもらえました。

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 このことに限らずですが、たとえ一人でもより良くしていくために働きかけ続けることは大事だと思います。ただ「同じ方向を向いている味方が身近にいる」とわかっているとたとえ上手くいかなくても、その失敗を次に繋げようと思えますし、何より気が楽になります。

 

 決して数は多くありませんでしたが、そういう味方になってくれる人がいたことは自分にとってすごく幸運なことだったなぁと思ってます。

 

 些細なことですが、そんな出会いがあっただけでも協力隊に来て良かったなと思いました。

 

1ヶ月

 モルディブでの滞在が残り1ヶ月を切りました。

 1ヶ月といっても学校での活動はあと10日、その後の学期の中間休み約10日間を過ぎるとマレに上がって帰国前の準備や挨拶回りをすることになります。

 

 各方面に出す書類や学校に残す資料などは既に作成を終え、週3~4回、1日1時間(35分)の体育の時間とワークショップの準備以外はほぼやることがなく、もはや校内ニートの様相を呈しています。最近何人かの子にお願いされて毎日放課後に日本語を教えてるのですが、その時間が1番長いくらいゆったりとやっています。

 

 今までもそうですが、この時期になって考えるのは、これまで曲がりなりにも形になってきている体育の授業が今後も続いていくかです。

 僕の島もそうでしたが、隊員がいなくなったあと数年も経つとせっかく積み重ねてきた授業が崩れてしまっていることがよくあるようです。

 

 もちろん色々と引き継ぎの際に話そうとは思っていますが、正直なところ一年はもつにしても、その後どうなるかはわかりません。

 身も蓋もない言い方もしれませんが今後きちんとした体育の授業が続いていくかどうかは現地の先生たちのやる気次第になってきます。

 もどかしい部分ではありますが、活動が終わったらとやかくいう立場にはないですしね。

 

 授業はあと2回ずつですが、その間に少しでも先生たちがさらに自信をもって授業ができるよう手伝っていければと思っています。

変えらなくても

 活動も既に終盤、というよりほぼ終わっていますが、ここにきて自分の考え方が変わっていることに気が付きました。

 

 

 現在、任地の学校では体育は週1で35分、最大で6クラスが同時に授業をしています。1クラス25~30人ほどいるので時間によっては150人超の子どもがグラウンドで体育をやっています。

 1月の始めよりは多少ましになりましたが、やはり正直なところ結構厳しい状況ではあります。何回か交渉はしましたが、家庭との兼ね合い、他授業との兼ね合い、子どもの様子を考えるとこれ以上調整するのは難しいとのことでした。

 

 多分着任当初や去年の今頃だったら「こんなのありえない」となっていたと思います。実際にそんなことをブログに書いていたと思います。

 

 ですが今、この体制になって1ヶ月経ちますが「これはこれでありかな」と思っています。

 

 まず35分という授業時間については、気候、子ども(と先生)の集中力を考えるとこれ以上は厳しいかなというくらいちょうどいいと思っています。短い時間も目いっぱい使う工夫をすればそれなりに活動時間も確保できますしね。

 数クラスが同時に授業をすることに関しても確かにやる場所は狭くなります。ですが、同学年の数クラスが同時にやることで、その場で相談することで指導内容の統一が図れます。それに他人の目があるときちんとやろうとするモルディブの先生の特徴を生かすこともできます(笑)

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  前にもあげた通り、デメリットは数えたらきりがないくらいあって、今の形がベストであるとは言えません。ですが、変わらないことをいつまでも考えていても時間は過ぎていきますし、無駄な頑張りになる可能性が高いです。

 それならいっそのことデメリットにはある程度目をつぶって、メリットを生かして活動を進めたほうが生産性があるなと考えるようになりました。変則的な「住めば都」ですかね(笑)

 こういったアプローチは何かを大きく変えるわけではないので地味ですが、確実に良い方向にもっていくことができると思います。変えてはいないけど変わっていく、というか。

 

   もちろん周りにガンガン働きかけて良い方向に変えることができる人もいると思います。ですが、残念ながら自分にはそういうバイタリティ溢れる行動は取れません。めんどくさがりですし。

 

 

 「メリットを伸ばす」というのは頭では理解していたつもりでしたが、これを実感としてもてたのはボランティアとして活動できたおかげなのかなと思っています。来てよかったですね。

ホイッスル

 クダフバドゥ島に戻ってきてから早1ヶ月、2月も一週目が終わりました。今年の自分が参加できる体育の授業も各クラスうちの半分ほどが終わりました。もう学校に行くのも1ヶ月しかありません。どんどん時間が無くなっていきますね。

 

 

 突然ですが、先月学校にホイッスルが入りました。

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 体育の授業、それにとどまらずスポーツの指導をしたことのある方なら共感してもらえると思いますが、運動の指導をする際にホイッスルはとても便利です。というより必要不可欠です。特にたくさんの子ども相手だとなおさらですよね。

 

 そういうわけで去年の始め頃からずっと用意してほしいとお願いしていたのですが、実際に用意してもらえるまで結局1年近くかかりました。

 あまりにも動きがなかったので、8月に帰国したときにいくつかホイッスルを買ってきました。それを何人かの先生に配り始めたことが呼び水になってようやく動いてもらえたような形ですが、なんとか帰国前に間に合いました。

 

 多少の偏見が混じっていると思いますが、先生たちにホイッスルが渡ったことで授業が以前よりさらにスムーズに進むようになった気がします。指示が通りやすくなったこともあると思いますが、ホイッスルを使っているだけできちんと進めている感じがする、という意識の変化も大きいのかなと思います。

 ホイッスルは安いものを探せば、たかだか1個2~300円程です。それだけで授業が変わるのなら利用しない手はないですよね。

 

 ホイッスルに限らず、ちょっとお金を出して用意さえすれば授業の質を高められるものってたくさんあると思います。

 もちろんないものは代用品を探すなど工夫して用意することも大事ですが、お金で解決できるならそれが一番早いし、お互い楽ですよね。

  モルディブの学校はそこまでお金がないわけではなく、教材・教具をそろえるくらいなら断られることはほとんどありません。ですが、たとえ許可をもらっても優先度が低いと思われているものは後回しになり、結局は忘れられてしまうことがよくあります。

 そうなると本当に必要だと思うものがある時は実際につかってみせて有用性を示して優先度を上げるしかありません。

 

 今回は自費購入のものを渡すという邪道を使いましたが、何とか優先度を上げて買ってもらうことができました。

 もうちょっと良い方法はあったかもしれませんが、配属先からお金を引き出すこともボランティアにとって大事な仕事だなと感じました。

 

 今回用意してもらった勢いと残り時間が少ない自分の立場を利用してもうちょっと色々なものを買ってもらおうと思ってます(笑)

楽しみながら

 いつの間にか1月も今週で終わり、残り日数もそろそろ50日を切ろうとしています。早い。

 

 

 一昨日、今年度1回目の体育のワークショップをやりました。先週開催の予定が今週に延期になったのはいつも通りですが、割と早くできたので良かったです。

 

 先日の記事でも触れた通り、小学校全クラスの担任が体育を担当することになり、とにかく体育授業の進め方を知ってもらう、と言うのがワークショップの目的です。

 

今回は企画のところから体育専科の先生に協力してもらい一緒に内容を考えていきました。

 ワークショップの流れは前回同様、前半は教室で体育の流れの説明や指導資料の使い方の紹介、後半は外に出て実技を通して、授業の進め方、いくつかの活動の進め方やポイントを伝えました。

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 半分以上の先生は体育の指導未経験、それどころか自身が体育の授業を受けたことのない先生もいる中、とりあえず最低限「準備運動→活動→クールダウン」の流れをつかんでもらえたんじゃないかなと思います。

 体育の授業のイメージがもてない中、活動を充分進めるのはなかなか難しいと思いますが、少なくともモルディブの体育が陥りやすい「ボールだけ渡して終わり」という状況にはならないでしょう。授業の形さえできれば中身はあとからでもどうにでもなりますからね。

 

 外での活動では自分が担当したのは準備運動や並ばせ方くらいで、メインの活動についてはほぼ体育専科の先生にお願いしました。

 自分の学校だけということもありますが、どの先生も割と楽しんで活動に参加してくれていました。体育の指導というところまではいきませんでしたが、活動を体験するだけでも随分違うと思います。あくまで今後の授業次第ですが、ある程度ワークショップの目的は果たせたんじゃないかなと思います。 

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 今回のワークショップは前回の反省を生かし、校長を始めとして、立場が上の先生に各担任に呼びかけてもらう形で連絡をしました。結果的に幼稚園、小学校の担任、さらに低・中・高学年のリーディングティーチャーも含めて全部で30人弱、体育に関わるほとんどの先生たちに参加してもらえました。根回しって大事ですね(笑い)

 それと今回は参加する先生たちにとっても必要感のあるタイミングでできたのも良かったのかなと、思いました。その辺のニーズを把握するのも大切ですね。今更気付いたのかって感じですが。

 

 今後はもう少し複雑なゲーム形式の活動を体験してもらう時間を作れたらな、と思っています。時間は少ないので厳選していかなければいけませんが、少しでも役に立ててもらえればうれしいですね。

フェードアウト

 先週から新学期が始まり、各クラスの授業も進んでおります。

 6時半出勤も慣れてしまえば楽なもんで、早起きする分1日が伸びた気がしてお得な感じもします。さらに日本に帰ってからの生活リズムの面でのリハーサルにもなって一石二鳥です。

 

 

 先週から体育の授業も続々と始まっています。時間割の調整前なので時間によってはカオスですが、一応どのクラスも体育をやっています。

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 新学期2日目に新1年生と新2年生の体育の授業に続けて入る時間ががありました。

 校長からは既に「今年の授業は全て担任が進めるように」とくぎを刺されていたので、担任の先生には多少のアドバイスをしつつ授業を眺めていました。

 1年生は小学生になってわずか2日目ということで並んだり、話を聞いたりするのだけでも一苦労で、しばらくは大変だなぁ、という感じです。こちらもある程度は授業に関わっていく必要を感じました。

 ただ、勝手に動き回りはせず比較的落ち着いているし、担任の先生も力のある方なので、ルールさえ理解すれば大丈夫でしょう。むしろ1年生の最初はこういうものだと思います。日本の小学校だって大して変わりません。

 

 そのあとの2年生がきたのですが、2か月のブランク(?)があるにもかかわらず、先生の指示を聞いてサッと並んだり、動いたりで初回にもかかわらずしっかりと体育の授業を受けていました。最早自分が入る必要はありませんでした。

 新2年生も去年の今頃は並べるようになるまで数週間、それどころか子どもによっては1ヶ月以上かかりました。

 ですが、1年継続した成果が新入生と比べることでやっと目に見えてわかりました。継続は力なりです。

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 ここからはボランティアが完全に離れても良い、むしろ離れたほうが良いクラスがどんどん増えていくと思います。多分。

 自分が参加できる体育の授業は各クラス6・7回程です。この間に全てのクラスの担任が「ボランティアはもう必要ない」と思ってくれたらもう思い残すことはありません。あくまで1~3年のクラスだけですが。

 

 

 今週は小学校のクラス担任を対象とした体育ワークショップを体育専科の先生と一緒に開催する予定です。長い時間ではありませんが、とりあえず授業の形だけでも知ってもらえたら、と思っています。

 

 今は思ったよりもたくさん活動していますが、どんどん仕事を減らしていきたいですね。