モルディブ小学校隊員の日記 〜今日の空振りは明日への素振り〜

青年海外協力隊モルディブ小学校教育隊員の日記です。がんばります。

ラストスパート?

 長期休業も終わり、昨日から新学期が始まりました。

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今年も相変わらずたくさんの子どもたち

 みんなにとっては始まりですが、自分にとっては終わりに向けてのラストスパートをかける時期になります。

 活動期間はあと10週を切っています。活動期間の約9割が過ぎたことになりますね。さらに出勤日で考えるとあと40日程です。いよいよですね。

 

 

 そんな新学期ですが、今年から学校が色々変わるみたいです。

 まず大きな変化として、いつできるか定かではなかった新校舎が遂に完成しました。それに伴って去年までは午後にあった小学校の授業が午前に変わりました。今年からは朝6時半出勤と言うことで起きられるか心配ですね(笑)

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来た当初は廃墟かと思っていましたが、いざ完成となると時の流れを感じます

 次に今年から清掃の時間も始めるようです。多分モルディブの多くの学校も同じだと思いますが、実は今まで任地の学校では子どもが掃除をしていませんでした。ですが、校長の提案で教育の一環として取り入れることになりました。

 校長としては日本の清掃を参考にしたいと言うことで、これからやり方を紹介したり、一緒に指導したりすることになると思います。関係する学年を考えると、こちらの活動の方がメインみたいになりますね。お掃除隊員です(笑)

 

 それ以外にもモラル教育を進めていきたいと言うことで、上手くいけば子どもが大きく変わる可能性もあります。こちらも出来る限り協力していきたいと思っています。

 

 

 メインの体育に関係するところだと、今年から小学1~6年の体育は全部担任が担当することになりました。

 今までは4~6年は体育専科の先生がいてほぼ問題なく進んでいたのですが、その先生が7・8年(中1・2)の担当になるということで一気に体育に関わる先生が増えます。

 1~3年は既に体育の指導経験がある先生が多くいるので、ほぼ問題ないと思うのですが、4~6は体育の指導経験がない先生もおそらくいると思います。しかも今年は1~2年の体育のアシスタントをしてくれと言われているので、授業に入るのも厳しいかもしれません。

 ですが、せっかく整ってきた体育の授業が崩れてしまうのも避けたいです。さすがに2か月ちょっとで全てを伝えきるのは厳しいと思うので、体育専科の先生と協力しながらワークショップ等で指導法を少しでも伝えていけたらと思っています。

 

 そもそも体育ですが、現時点で10クラス近く、約300人が同じ時間に体育をすることになっています(笑)

 リーディングティーチャーもさすがにこの状況に引いていたので、これから調整するとのことですが、時間調整もやはり大きなハードルになりそうです。

 

 

 「もう大丈夫だろう」と安心していたのもつかの間、突然大きな仕事がわいてきましたが、暇しなくていいかも知れません(笑)

2019年を振り返って

 2019年も今日で終わりです。去年の反省(?)を生かし、今年の大みそかはマレに残っての年越しです。来年は自分にとっては活動の締めくくりと同時に、新たなスタートの年となります。ということで去年と同様に今年一年を簡単に振り返ろうかなと思います。

 

①1月〜3月

 新年度スタート。やっと体育もクラスごとになり、活動も本格的に始められました。まだまだ手探りでしたが、活動の方向性が見えて充実していましたね。3月にサッカーをしていて足を蹴られ、足の親指が2倍くらいに腫れ上がったのも良い思い出です。

 

②4月〜6月

 何と言ってもデング熱ですね。ラマダン中でマレに上がっていたにも関わらず、ほとんど活動ができず散々迷惑をかけてしまいましたね。何だかんだて調子が戻るまで1ヶ月くらいかかるあたり、さすが「気をつけろ」と言われる病気なだけあるなと思いました。ですが、これも今となっては良い思い出です。

 

③7月〜9月

 この時期はモルディブにきて1番穏やかに活動していたように思います。言い換えるとやることがあんまりない時期でした(笑)

 授業の形もできて、先生たちの指導も安定し、子どもたちも割と落ち着いて楽しそうに授業を受けていました。少なくともこの感じが何年か続いてくれれば来た甲斐があるなぁ、と思うくらい順調に進んでいました。

 日本にもちょっとだけ帰ってリフレッシュしてこれたのも良かったですね。

 

④10月〜12月

 この3ヶ月は学校的にも個人的にもやたらイベントが多い時期でした。

 まずは2本のワークショップ。まずヒマンドゥのワークショップですが、本当に参考になりましたし、他の隊員の姿を見てモチベーションも上がりました。自分の島でのワークショップもやっとできました。たった一回でしたが、ワークショップをする事で授業が変わると言う実感も得ました。

 その他にも学校で色々なイベントかありましたが、イベントが多い=授業時間が取れない、という側面があります。最後の方は授業時間の調整(その場しのぎ)が大変でした。終わるには終わりましたが、来年に向けてたくさん課題が残りました。

 11月後半からマレに上がってからも日モや総会など色々イベントがありました。なかなか機会が少ないのもありますが、他の隊員と一緒に活動するのもやっぱ良いもんだな、と思いました。

 

 

 今年もちょくちょくトラブルがありましたが、振り返ってみるとどっぷりと活動に集中できた1年だったと思います。

 あと一週間ほどしたら任地に戻り、活動を再開しますが、この国で活動できる時間は実質2ヶ月程です。やれるだけのことをやってすっきりした気持ちで日本に帰りたいと思っています。

 

それでは良いお年を!

 

国を越えて ~映画「南の島の大統領 -沈みゆくモルディブ-」を観て②~

  今年もいよいよ残り3日となりました。モルディブは相変わらず年末感はなく、いつも通りののんびり、というよりダラダラとした日が続いております。

 

 少し時期が過ぎてしまいましたが、今月2日から2週間の会期でスペインのマドリードにおいてCOP25が開催されました。来年1月に迫ったパリ協定の本格始動直前の最後の会議ということで、温暖化対策についてのより積極的な取り組みを示せるかが一つの焦点となりましたが、2日間の延長にもかかわらず当初期待されていたような合意には至らず、残された課題は来年以降に持ち越しになりました。

 詳しい内容については割愛しますが、以前から問題になっていたように、アメリカが協定から離脱することもあり、脱炭素社会に向けての国際的な取り組みに水を差すような形になってしまったようです。

 (会議の合意内容等について以下のページに今回の会議のポイントがまとまっていますのでよろしければご覧ください)

www.nies.go.jp

 日本では化石賞を受賞しただの、環境相の話がどうだのと少しずれたことが話題になっているみたいですね。日本がどう思われているかばかり気にしているというか。

 モルディブはこの協定如何によっては国がなくなるということが現実に起こる可能性があるため、そんな平和なことは言ってはいられません。

 

 以前にも記事にしました(

https://katsun88.hatenablog.com/entry/2019/08/24/213117

)が、このパリ協定にも謳われている「長期的には2度以下に気温上昇を抑えることを目標に各国は1.5度以下の気温上昇幅に抑えることに努力する」という合意に向けてモルディブの元大統領モハメド・ナシード氏も各国の首脳との交渉を進めていました。

 もし2度気温が上昇したら国土がほぼなくなってしまうモルディブにとって、この目標に向けて明確な答えが見いだせなかった今回の会議に対する落胆は大きかったことと思います。実際にモルディブも参加している44の島国からなるAOSIS(小島嶼国連合)はCOP25の結果に対して落胆の意を示す声明を発表しています。(

https://www.aosis.org/2019/12/15/cop-25-aosis-closing-statement/

 

 

 モルディブの多くの島では現在進行形で護岸工事、埋立工事が進められています。埋め立てられれば、サンゴを始めとした周辺の生態系に影響が出てしまいますし、美しい景観も失われてしまいます。

 はたから見れば、「美しい自然を破壊するなんてもったいない」という感想も出てくることでしょう。違う問題も含まれていますが、沖縄の米軍基地の辺野古への移設に対する世間の反応を見るとそれはわかると思います。

 

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首都マレ近くの人工島フルマーレ。今も島の拡張が進んでいます。

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地島でも埋め立てが進んでいます。

 映画の中で、あるローカル島の住民が大統領に対して、島の浸食を食い止めるために護岸工事を進めて欲しいということを訴えている場面がありました。生活の場が奪われるという問題に直面している住民にとっては自然保護などと四の五の言っていられないところまで来ているのでしょう。

 一方で、こういった工事がモルディブの主要産業である漁業と観光業に大きな影響を及ぼすことは避けられません。

 

 このようにモルディブは「自然環境を破壊したくないけれど、生活のためにはやむをえない」という状態にいます。特に生態系の変化は死活問題になります。

 モルディブでも環境教育は少しずつ進んでおり、各種の啓発も行われていますが、正直なところ国内での対策は限界に来ているのが現実です。

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少しでも環境問題に目が向けられるとよいのですが。

 「海面上昇で沈む国がある」ということは知識としては知っていました。ただ、先日の旅行の記事の内容と重なるところありますが、その問題は自分とは関係のない遠い国のこと、という感覚でした。せいぜい豪雨や猛暑が増えていて心配、という程度だったと思います。

 ですが、当事国に来て実際にきれいな海が埋め立てられているところを目の当たりにして、環境対策はもう手遅れかも、というところまで来ていることを肌で感じました。こういったことを考えることも、この国に来た意味なのかもしれません。

 

 

 では、自分は何ができるかと考えると、できるだけ多くの人、特に教員として子どもたちにこの現状を伝えることかなと思っています。きっと伝わり方が違いますもんね。

 本当に小さなことですし、現状が変わっていくかどうかは今は見えませんが、少しでも力になれたらと思っています。

 

 

 

 

 

  

 

自分の目で見ること 〜任国外旅行を終えて〜

 今週の日曜に10日間の任国外旅行を終え、モルディブに戻ってきました。

 

 

 旅行最後の3日間はバンコクに滞在していました。昨年も来ていたので、今回は「タクシーに乗らない」ということをバンコク滞在のひとつテーマとして3日間を過ごしました。

 

 今回は、去年時間があったのになぜが行かなかったところを中心にまわりました。

 去年に比べて大きく違うところは地下鉄がさらに便利になったところかなと思います。以前も地下鉄や高架鉄道など、利用しやすい交通機関がありましたが、この一年でバンコクの中心地から王宮やワット・アルンといった観光地の方まで地下鉄が延伸され、タクシーなしでもほぼどこへでも行けるようになっていました。これによって世界一とも言われる渋滞も多少は緩和され、さらに洗練された都市になっていくかも知れませんね。

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今年開業した王宮近くの新駅。観光地っぽい。

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ナイトマーケットも人であふれています

他の二ヶ所に比べるとさすが東南アジア有数の中心都市の一つと言うべきか、人も物も溢れ返っていて、都市の整備もだいぶ進んでいますが、まだまだ「まさに今発展中」というパワーを感じました。

 

 

 この10日間で大きく分けて3ヶ所まわりましたが、  曲がりなりにも協力隊員です、そう言った視点でもモルディブとそれぞれの国を比べてみることもありました。

 

 モルディブとタイ、カンボジアは三カ国とも開発途上国に分類されています。ですが、その中でも経済的には大きな差があります。

2018年度の一人当たりの名目GDPを見てみると、

 

モルディブ 14,571ドル 59位

タイ     7,448ドル 82位

カンボジア  1,504ドル 153位

 

となっており、モルディブと比べるとタイは半分、カンボジアに至っては10分の1程しかありません。もちろん人口や物価の差などもあるため一概には言えませんが、それにしても大きな差があると言えると思います。

 

 それは旅行をしている範囲でのわずかな時間、生活をしている人の様子を見ていても感じました。

 

 前の記事にも書きましたが、カンボジアでは観光地で他の子どもが学校に行っている時間に子どもが家のお手伝いの範囲を越えて働いていました。

 タイでは行った範囲では子どもが働いている様子はありませんでしたが、路上で物乞いをする人の姿はチラホラですが当たり前のように見られます。

 モルディブではそう言った姿は全く見られません。この差はやはり経済力の差なのでしょう。

 

 協力隊に参加する前、それどころかモルディブに来てからも、途上国を一括りに考えていて、そういった差はほとんど考えたこともありませんでした。ですが、今回の旅行でそんな簡単なものではないんだなと感じました。同時に自分がもしタイやカンボジアで協力隊員をしていたら、どこまでできるだろうか、とも考えていました。

 

 もちろん知識では違うということは知っていましたが、実際に行ってその差を実感しました。たかが数日で偉そうなことは言えませんが、実際にその場に足を運ぶことって大事ですね。

  また、どの国にも日本の支援が入っていて、確実に現地の生活に生かされていることも感じました。支援の意図は様々あると思いますが、こう言った支援は続けていって欲しいと思います。それはいずれ日本にもプラスになるとも思いますしね。

 

 

 今回の旅行は、あくまで比較的安全な観光地が中心ではありましたが、単に観光する以上に色々考えられる良い機会になりました。

 

 

 

スコータイへ

 今回の任国外旅行も折り返して17日よりタイにいます。昨日から今日にかけては北部のスコータイに滞在していました。

 

 

 スコータイは13世紀頃にタイ最初の王朝であるスコータイ王朝が開かれた所です。現在この王朝時代の寺院群が世界遺産に指定されています。

この王朝の3代目のラムカームヘン王はタイ文字を考案した王とされ、タイ史上最高の王の1人とも言われているそうです。日本は鎌倉時代から室町時代頃ですかね。

 ちなみに先日行ったカンボジアのアンコール王朝から独立する形で建国されています。こういう繋がりも面白いですね。

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 同じようにタイのかつての王朝跡として世界遺産に指定されているアユタヤに比べると、首都バンコクからのアクセスのしにくさ(空路で1時間orバスで6時間)、規模の小ささから割とマイナーな観光地です。

 ただ個人的にはアユタヤよりおすすめできるスポットでした。

 

 まず空港が良い感じです。出入口がほぼ直通です。しかもなぜか空港の横にシマウマやキリンがいます。

 乗り入れている航空会社が一つしかなく、ほぼ観光での利用しかないため、こういった配置になっているのでしょう。潔いですね。

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 空港からロットゥーで約40分程、遺跡の密集しているスコータイ旧市街に着きます。

 主な観光スポットが密集しているので、今回は自転車を借りてまわりました。

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 ここは戦争によって滅んだ国ではないためかアユタヤに比べて状態の良い遺跡が多いのが特徴です。高さ15m超の座仏(奈良の大仏より大きいようです)など、見応えのある遺跡もありました。

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 遊行仏という片足をちょこっと上げている仏像が見られるのもこの遺跡の特徴です。こういう形の仏像はスコータイ周辺でしか見られない独自のものだそうです。

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 何よりマイナーなおかげで観光客が少ないのが素晴らしいです(笑)

 人がいるといっても現地の子どもが遊び場にしている(さすがに追いかけっことかはしていません)か、大人がランニングをしているかくらいで、本当にのどかな田舎の公園という風情でした。ただ野良犬に追っかけられた時は気が気ではありませんでしたが(笑)

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 今回の旅行は人が多い所に滞在するのがほとんどだったので、1泊2日という短い滞在でしたが、ピクニック気分で過ごせたので、ほっと一息つけました。今度はもっと長くいても良いかもしれません。

 

 

カンボジアへ 

 今年も残すところあと二週間ほど。年間30回の投稿にはあと6回投稿しなくてはなりません。ちょっと頑張ります。

 

 11月いっぱいでマレでの活動も終了し、ゆったりとした日々が続いておりました。時間もあるし、日本に帰ってからはなかなか行けないということで、今月の13日から任国外旅行でタイ、カンボジアに出かけています。

 

 

 手始めに13日にタイで一泊の後、14日から今日までカンボジアに滞在していました。滞在期間もそんなに長くないので、今回はシェムリアップ周辺のアンコール遺跡群を中心に見てまわることにしました。

 アンコールワットに代表されるように、海外旅行では王道中の王道みたいな所で敬遠していた部分はありましたが、さすが有名になるだけあるなぁと感じました。

 

 初日は昼前に到着、ホテルに荷物を置いてからすぐに車両をチャーターして遺跡のほうに向かいました。基本的には遺跡を回るルートは2つあるのですが、時間も時間だったのでそのうち割とマイナーな方を回ってもらうことにしました。

 一般に知られているところは少なく、比較的こじんまりしている遺跡が多かったのですが、その分人も少なく、ゆったりと楽しむことができました。

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 2日目はアンコールワットを含む有名な遺跡を巡るルートを回りました。初日にお願いした運転手さんの勧めでアンコールワットで日の出を見るために5時前にホテル発で昼過ぎにはホテルに戻るというなかなか健康的なスケジュールでしたが、何でこんなに世界中から観光客が集まるのかよく分かりました。思ったよりも整備が行き届いていてジャングルの中にあるっていうイメージと違ったのは観光地あるあるですね。

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 3日目はラピュタのモデルとも言われている(実際には違うようですが)ベン・メリアと「東洋のモナリザ」とも言われているヒンドゥー教の女神デバターの彫刻で有名なバンテアイ・スレイに行きました。遺跡もですが、移動中に見えるカンボジアならではの田園風景も素晴らしかったです。

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 ご飯もお酒もとにかく安くてとても過ごしやすい国でした。

 

 

 いろいろなところを巡る中で、いくつかの観光地でお土産の売り子をしている小学校低学年くらいの子どもが結構いました。他方で同じ時間帯に制服を着て小学校に来ている子どもの姿も見ました。ということはおそらくお小遣い稼ぎというわけではないのでしょう。

 カンボジアの学校の制度はよくわかりませんが、小学校の就学率は9割を超えているそうです。ただ、こういった様子が見られるということは実態は少し違うのかもしれません。

 

 数十年にわたる政治の混乱の影響もあり、カンボジアは東南アジアの中でも最も貧しい国だそうです。表向きには感じのいい人ばかりでのどかな国だなぁと思いましたが、まだまだ大きな課題がたくさん残っている国の一つなんだろうなと思いました。こういう国にこそ日本の支援をガンガン入れていく必要がありますね。金銭的にも人的にも。

 

 

 

 

水泳


 11月の頭、授業が全て終わった週末から約1週間現地警察と協力しての高学年以上の女の子を対象とした水泳教室がありました。もう真っ黒になっています。

 

 

 以前にも書いたかもしれませんが、モルディブの体育でも水泳領域を扱うことになっています。実はモルディブの子どもは海に囲まれているにもかかわらず、意外にも泳げない子の割合が多いです。泳げなくても生活できるといえばできますしね。ただその中で起きた海での死亡事故をきっかけとして水泳を学校で教えるよう定められました。このあたりの経緯は日本と同じですね。

 

 ですが、日本と違い、各校にプールはなく、週1時間(35分)で実施するわけにもいかずということで、現状水泳の授業を実施していない学校も多くあります。たとえ実施できたとしても課業時間外にやらざるを得ないため、なかなか多くの時間をとることもできないのが現状です。また、授業は必然的に海でやることになるため、事故発生時を考慮して警察等に協力をお願いしなくてはいけないこともありますしね。

 

 

 赴任校も今年はこの警察主催のものの前に学校として各クラス1時間ずつ程水泳の時間を取りました。水泳の成績を付けざるを得ない状況で、ひとまずやっておこうというレベルです。

 モルディブの指導要領には高学年の指導事項にバタフライが設定されていたり、泳法は問わないものの3年生で50m泳ぐということが設定されていたりで、現実と相当乖離しているものがあります。日本でもほぼ無理ですよね。

 ただこれについては割とフレキシブルに対応して良いみたいで、去年は6年生にバタフライを教えて(見せて)いましたが、今年はクロールに絞って教えることになりました。

 

 

 ですが、どう考えてもこの時間だけでは泳げない子が泳げるようにはなりません。そこで今年は泳げない子が多い女の子に絞って警察に水泳指導を依頼することになったようです。

 

 今回は4グループ+1グループ(レベルが高めの子)を各1時間ずつ計7回水泳指導をしてもらいました。各グループ20人前後に対して大人は警察6人を含め、約20人の指導者、アシスタントがつきます。さらに看護師と医師が砂浜に常に待機しており、もしもの時に備えるなど万全の態勢で進められていきました。

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バタ足練習 万全の指導体制です。

 基本的にはクロール25mを最終目標に、バブリングや伏し浮き、バタ足の練習、クロールの手のかきまで、ひとつひとつ丁寧に進めていました。上手くできない子がいれば、個別で2人ほど指導者がついて練習をするなど、数の多さを最大限に利用して全員が泳げるよう支援をしていました。

 

 指導をしている警察官の方も教え方が上手で、僕はほぼその指示に従ってお手伝いするだけで充分でした。特にこちらの水泳は競技用と言うより、事故にあっても生き残れるようにするという要素の方が強いので、学校の先生が教えるよりはるかに適任な気もします。

 また、砂浜から約50mに渡って深さ1m前後の海が続く所と、すぐに足がつかなくなるところが近くにある任地の島の地形も水泳を教えるのには最適でした。シュノーケリングには向きませんが、水泳指導の観点から見るとメリットは大きいですね。

 

 最終的にほとんどの子が25mを泳げるようになり、目標は達成できたと思います。しっかり指導をすること、時間をかけることで技能を身につけることができることを学校の先生方も感じてくれたんじゃないかなと思います。

 

 たまたま赴任地が比較的大きな島、かつ学校が一つしかない等様々な好条件が重なり、こういった機会を作ることができたと思います。学校だけではなく、社会全体で適材適所で教育を進めていく良さを感じました。子どもにとっても特別感があって楽しいと思いますしね。

 この体制がさらにほかの学年にも広がって継続されていってほしいと思いました。